I-3. ゼウスの雷

ギリシア神話の「カミナリ」おやじ、ゼウスの力にまつわるお話。

クロノスが土星であったのに対して、ゼウスは「拡大」や「発展」を示す木星に相当します。

世界を新しい秩序のもとに統制したゼウスですが、その力は他者から授けられたものでした。幸運の星は、仲間あってこそ活かせるものなのでしょう。

ティタン神族の圧倒的な力を前にして苦戦するオリンポス神族でしたが、ゼウスは、ウラノスやクロノスによって地下に幽閉されていた、これまた巨人族であるキュクロプスたちを解放し、味方につけます。

この時キュクロプスたちは、ハデスに「かくれ帽」を、ポセイドンに「三叉の矛」を、そしてゼウスに強烈な光を放つ「雷霆」を与えました。これを以て彼らはティタン神族を倒し、ゼウスが天地を、ポセイドンが海を、ハデスが冥界を領分とします。

Cornelis van Haarlem《打ち負かされるティーターン》c.1588

天地を統べる最強の « Tonnerre de Zeus »(ゼウスの雷)は、通俗的に「激しい怒りを示すののしり言葉」という意味で使われます。日本でも、怒鳴りつけたり叱責したりすることを「雷を落とす」と表現しますが、大神ゼウスに雷を落とされたら一巻の終わりですね。