やっと咲かせた夢。
その喜びを、想い募らせた日々を、いつまでも忘れずにいたいですね。
傍らの花は、遠くの星のように輝き続けるものではないけれど。
女神アフロディテは、キテイラ島の地を踏んだ後キプロス島に流れ着き、以来、この地はアフロディテ崇拝の中心地となりました。島の王ピグマリオンは、現実の女性には見向きもしません。やがて女神をイメージして自ら理想の女性像を彫刻し、恋い慕うようになります。その様はあたかも生身の女性に接するかのようで、動かぬ像に服を着せ、食事を供し、愛を語りかける日々。この熱意に応えたアフロディテが像に生命を吹き込み、ピグマリオンは晴れて彼女を妻に迎えたのでした。
« Un pygmalion »(ピグマリオン)の名は、「恋する相手を教え育てて恋を成就させる人」を指す慣用表現となりました。あたかも『源氏物語』の主人公・光源氏が、幼い紫上にそうしたように…。